江戸の京むすめ「第18回 梅雨の合間のお祭りレポート」
梅雨ってこんなモンでしたっけ・・
晴れの日を狙ってはお洗濯!いつ曇る?いつ雨が降る??とお空との駆け引きを楽しんでみたりしていたのは最初だけ。外へ出る度に大量の日差しを受け『あつっ!』と呟いてしまうのは座る時の『よいしょ』と同じく年齢を表しているのでしょうか・・。
平成世代の成長を見守りつつ、もうすぐ迎える誕生日を前に昭和ってもう懐かしまれる時代なん!?ってな疑問を抱える20代後半・・相変わらずお化粧とブラジャーが嫌いな京むすめですが、やっぱりお祭りとなるとはしゃいでしまうものです。
今日は浦安三社祭のお話です。
今月頭、私は週に1度のお休みを利用して浦安探検に出掛けました。と、言うのもある日市川テレビ(??)で、はまぐりの串焼きなるモノの存在を知って以来、一度口に入れてみたいと・・まぁ、食欲に押されるままの行動だったわけですが、その浦安駅前で何とも不思議な光景を目にしたのです。
いくつもの通りに飾られる万国旗と提灯・・
その日は平日。週末に何かイベントかなぁ・・こんな時期に運動会?はたまたオリンピックの応援?誰か名誉市民に選ばれた?でも提灯って???
その疑問はすぐに解かれます。
とあるお店の軒先に一枚のポスターを発見。
“浦安三社祭”
何でも4年に一度(7年かも?ごめん、詳細分かりません)の大イベントらしく、気を付けてみると街中の至る所にポスターが貼られていました。こりゃあ行くしかないと、免許の更新で実家に帰る予定だったのをこのお祭りの為に早め、6月19日(土)の少し蒸し暑いその夜に行って来ました!
三社祭と言うのですから、3つの神社が絡んでいるはずです。それでも土地勘のない私にとって神社を探すのもかなり大変だったのですが、やっとの思いで見付けたソコはもう縁日がずーっと立ち並び、往復する人の波でごった返していました。
縁日狙いでご飯を抜いていたので、先ずはお目当てのたこ焼きをゲット。
『ウチは焼き立てしか売りませんよ~。』
『おじさんも焼き立てだよ?え?時間経ってるって?年とってる?失礼な・・』と
一人ノリツッコミのおじさんに突っ込む隙を見出せず関西人魂を打ち砕かれたまま、イソイソと歩いていると・・お?ケバブ????
ケバブとは私がイギリス留学時に初めて出会った思い出のファーストフードです。正しくはドネルケバブと言うトルコ発祥の料理。主に羊肉の塊を専用のロースターマシーンで回しながら炙り焼いて行き焼き上がった部分をナイフでそぎ落としてそれをお野菜と共にピタパンのような生地に挟んで頂くのですが、そこにケチャップをかけるか、塩コショウとビネガーにするかが個人の嗜好の分かれ目です。私はお肉の旨みとお野菜の甘さを引き立てるらしい後者を勧めています(笑)。
帰国した頃(もう7年前ですか・・)は専門料理店でしかお目に掛かれなかったのですが、今や渋谷や六本木では屋台のお店としても有名ですね。そしてついに縁日でも・・。こんなことならイギリスで躍起になって食べへんかったら良かった・・。週に2度くらいはケバブ屋さんに通っていた私は、3ヶ月で7kg増量。帰国直前、空港までのバスに乗る前に挨拶だけ、と立ち寄ったらあらまぁ、ご親切にもお肉倍量、お野菜別添えのスペシャルケバブをもらってしまい、バスの中で泣きながら平らげてしまいました。(今やったら絶対に食べ切れへん量です)
そんな思い出が走馬灯のように駆け巡りましたが、お店の前には長蛇の列!販売しているアラブ系の男性も大汗をかきながら必死の様子。
こりゃ、インタビューなんかしたら迷惑やな・・ってコトで次のネタ?を求めて奥へ奥へ。
私が子供の頃はアラレちゃんとかロボット8ちゃんとかあったのにな・・とお面屋さん。こんなん見たこと無い!と言うのはどうやら私だけらしかった、金魚すくいならぬカメすくい。関西では○○(まるまる)焼きと呼ばれている大阪焼き。いつの時代も変わらず駄々をこねてストライキ中の子供や、はぐれた仲間を携帯で探す中学生らしきグループ・・
到着したのは一つの境内です。
大きなお神輿が奉納されたそこは路上に勝る大盛況の縁日会場でした。
その中でも一番の行列を惹き付けていたのが、広島焼きのお店です。何か素敵な空気を感じて並んでみると、おじさんが一言『あれ、また(人が)増えた?何?みんなヒマなの?ヒマなら手伝ってよ。』やあああああああああああん、好き(笑)。
大きな鉄板でも一度に焼けるのは15枚。全てが行き渡る頃にはまた新たなお客さんが加わり、行列は一向に縮まりません。『おじさんねぇ、朝から何も食ってないんだよ。だからコレ勘弁してね。』とビール(おじさん曰くガソリン)を片手に、饒舌なおじさん。
『おっ。おじょうちゃんいくつ?いいねぇ、パパとお出掛け?』
『そっちがパパかい?ウチにも娘が2人いんだけどね、帰ると肩身狭めぇんだわ。』
『ソコのカップルは何かい?高校生?早く帰って寝ろよ。ヒマなら手伝え。』
『なんだよぉ、みんなジロジロ見るなよぉ。おじさんは見世モンじゃねえぞ。』
一人一人のお客さんと目を合わせながら会話を振っていくおじさんでしたが、
突然・・『あ、いけね。キャベツなくなっちったよ。』そう言うと『みんな見ちゃダメよ~。はぃ、子供は目を瞑んなさい。』取り出したのはキャベツをスライスする機械。本来キャベツが入っているはずのカゴに落とすではなく、焼き上げ途中の生地上にパラパラ・・
『縁日ってのはねぇ、気取ってちゃいけない。キャベツだって新鮮でしょ?ね?』
『小奇麗なモノが食いたきゃどっか店に行けってね。砂埃が混じってるのがまた美味いんだ。』
結構名文句だと頷く一同。そしておじさんが広島焼きを引っくり返す時には拍手喝采でした。『おじさんだってねぇ、やるときゃやるんだよ。』
待ち時間はざっと20分だったでしょうか。けれど待たされている誰も列を離れようとしなかったのは、おじさんの魅力ですね。商品を手渡す時でも『どうよ、大盛りでしょ。余ったら返してね。』って(笑)。負けました・・・
お祭りの楽しい雰囲気って、こういう人と人との会話が生み出してるんですよね。“魅せる空間”“何かしらの交流があるお店”“人を惹き付ける場所”そんな飲食店を創り出したいと考える私は、おじさんから大切な事を学んだ気がします。接客術とか何とかスキルとかドコドコ公認の資格とか・・色々な名称や評価がありますが、最後はやっぱり“人”やな、と。
ほのぼのとした心持ちで頬張った広島焼きは、おじさんや一緒に並んでいた人たちの顔と共に“思い出の味”として残っています。(ちょっとばかり焼き過ぎやったのはご愛嬌(笑)。)