江戸の京むすめ「第17回 憧れの玉子焼き」

まさかこんな所でお目に掛かれるとは・・今日は浦安のスーパーに出向いた日のお話です。

私が築地を初めて訪れたのは南麻布のお店に勤務していた頃。

同僚と六本木で遊び、そのまま河原で花火などを嗜み、空腹を癒す為に『まぐろ丼』を食べに行きました。築地=魚介類と、ここまでは私の予想範囲だったのです、が!立ち並んだお店の軒先を眺めてみると、お魚屋さん以外にも乾物屋さん、お米屋さん・・そして・・玉子焼き屋さんが・・

tamagoyaki

玉子焼きだけを売っているお店なんて見たことがなかった私は友人に『何で?何で?』の質問攻め。こちらにお住まいの皆さんならご存知でしょうけど、お魚を仕入れにいらっしゃるお寿司屋さんのうち、玉子を焼くお時間のない方がご購入になるんですってね。残念ながらその時はまぐろでお腹がいっぱい。いつか食べに来るからぁぁぁと決心してから、もう2年。

ついに!再会の時が到来しました。

お昼ご飯を食べにふと立ち寄った浦安のスーパー。

ん?築地市場????期間限定のフェアですよね。1階のホールに築地の名店が大集合していました。きゃあ!生湯葉がある!きゃあ!まぐろの解体?きゃあきゃあ・・取り乱す私に困惑している彼氏を気にする余裕もなく、手を引いてつまみ食い?をしながら奥へと突き進んで行く京むすめ26歳。そして発見!ずっと憧れていた築地の玉子焼きです!

焼いていらっしゃる所を見詰めること数分(おじさま、お邪魔してごめんなさい)隣にいた社長さんが優しく『焼き立てで美味しいですよ』と声を掛けて下さいました。

おじさまの巧みな技で巻かれて行く玉子。次々と積み上げられる艶やかな黄金色の巨大玉子焼き。甘い香りが脳を刺激したところに社長さんの素敵な笑顔でトドメ。完全にノックアウトです。これで買わへん人はいはりませんて。

んもー、2年越しの夢が叶ったとあって私は有頂天。今にも踊り出しそうな私に『ちょっと食べてみる?』と後光の差した彼からの一言。

やったああああああああ。お行儀悪いけど・・関係ないやああああああああ。その一部始終を見ていた社長さんが『包丁入れておきますね』って、きゃあああああああああ。つまようじまで・・すんませえええええええええん。

と、言うことでお店の前のお椅子に座って頂きました。

イメージでは玉子が何層にも連なって、お口に入れたらその層が崩れて来るのかと・・しかし何で?不思議な事に、包丁を入れて頂いた面には層が一つも見当たらへんのです。ギッシリビッシリ詰まりに詰まった玉子たち。食べるのが勿体無いようなずっと眺めていたいような衝動に駆られます。ホンマに綺麗なんですよ。

味は?と言えば・・・想像して下さい。お寿司屋さんで頂くネタの玉子に、焼き立ての温かさと尋常やない分厚さ、そしてあたかも自分の為だけにおじさまが焼いて下さったという特別感、さらに芸術か?とも言わんばかりの作品を崩して行く悪魔心・・

その興奮を鎮めるような優しい味。ほんのり甘くてお出汁が効いていて、ちょっと濃い目に入れた玉露が良く合う感じでした。

お礼がてら社長さんにお話を伺おうと思いましたが、お客さまが殺到してお忙しそうにしていらしたので、焼き手のおじさまに写真撮影とエッセイ掲載の許可のみ頂きました。次は是非築地の本店へお邪魔したいと思っています。

社長さん、おじさま、色々なワガママを聞いて下さってホンマにありがとうございました。

お客さまが途切れることはなく、社長さんが笑顔いっぱいに商品の説明をしていらっしゃいました。

お客さまが途切れることはなく、社長さんが笑顔いっぱいに商品の説明をしていらっしゃいました。

3つのフライパン(何て言うんやろ・・)を手際良く操る職人さんの技!見ているだけで圧巻です。

3つのフライパン(何て言うんやろ・・)を手際良く操る職人さんの技!見ているだけで圧巻です。

食べた人やないとこの有難味は分かりません。 感動を味わいたい方は今すぐ築地まで!!

食べた人やないとこの有難味は分かりません。
感動を味わいたい方は今すぐ築地まで!!

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ナミ

東男の父と京女の母の元、途中まではお嬢様教育を施されたお転婆ワガママ一人っ娘。京都生まれの京都育ち、27歳。自称レストランサービスコーディネーター(自分で作った職業名)。 仕事=趣味の生き方が災いしてか、度重なる縁談にも縁がなく独身。イギリスではパブでライブを、フランスでは1つ星レストランで異次元な体験を・・そして帰国後に麻布十番から葛飾を経由して現在は江戸川のほとりで暮らしています。さてさて、ここでも素敵な出来事が目白押しの予感・・・。

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