だって好きなんだもん「第2回・祝!解禁 ズワイ蟹漁」

11月6日はズワイ蟹漁の解禁日。

この日から一斉に出回るズワイ蟹だが、皆さんが良くご存知の「大きくて足が長い」のはオス。このオスが美味しいのは勿論だが、内子と外子を持った、大きくても精々250グラムほどしかないメスが旨い。

ズワイ蟹は捕れる場所により名前が違うのはご存知だろうか。

kani

福井県沖で捕れる雄は越前がに、雌をセイコガニ(セコガニ)、山陰地方では雄を松葉ガニ、雌はオヤガニと言う。総じて簡単にズワイと呼ぶが、雄のズワイであっても、捕れた場所(国産・輸入)や茹で方・冷凍か否かで値段も味も全然違う。居酒屋の宴会コースに出てくるようなズワイ蟹は、申し訳無いが美味くない。

しかしアレを蟹の味と思って疑わない人もいるのではないか?どうも日本人は蟹なら何でも美味い美味いと食べる癖があるようだ。実際、格安旅行でズワイ蟹が食べ放題!なんていう見出しのツアーに出される蟹は最悪の場合、外国産の冷凍物か良くて紅ズワイが多いらしい。紅ズワイとは小ぶりで茹でる前から赤く、山陰の境港や香住港でも捕れるため香住蟹とも呼ばれるもの。味はズワイよりも水分が多めで甘味があり、ミソが美味しい。しかし価格的には安く、ズワイと勘違いする人も多い。

蟹の王様とも言われるタラバガニは「鱈場蟹」、実は蟹ではなく鱈の漁場にいるヤドカリの仲間なのだ。またその仲間で油タラバやイバラタラバなどあり、タラバのニセモノ扱いされる事があるがそれは間違いで、季節によって一番身が入っているものを選ぶと良いらしい。

そろそろ話を戻そうか。

このメスのズワイは、石川・富山では香箱蟹(こうばこがに)と呼ぶ。香箱とはまた何と風流な呼び方ではないか。食べれば解るが確かに「香る箱」なのである。普通はだいたい150グラムくらいの重さなので、オスのように身を食べる目的ではなく内子と外子とミソをチビチビと食べながら冷酒を飲むことをお薦めする。

外子は茶色く、日本海の冷たい荒波にもまれたような、たった数粒を口に入れただけでプーンと潮の香りがする。目を閉じれば海の側にいるような錯覚を起すほどだそして内子はオレンジ色の塊で、ポロポロと崩しながら口に入れると、何とも言えないコクと風味。甲羅の中で大切に大切に守られてきた繊細な味、宝物。この味わいに幸せを感じなければ一体何を幸せと言うのか。1杯の値段は500円~2,000円くらいだろう。

地元に行けば安く美味しく食べられるのは勿論だが、この時期に毎年北陸へ行くわけにもいかない。専らネット通販(得意技!)で仕入れるのだが、値段はピンキリ。送料もかかるし、不味いとガッカリだし、あのサイトこのサイトと香箱蟹を捜し歩いてどれがお徳か品定めの毎日だ。実は初めてこの蟹を注文した時、まさかこんなに小さな蟹が届くとは夢にも思っていなかった。たまたま能登の老舗で甘えびや烏賊を注文していて、卵が美味しいメスの蟹があると知り取り寄せてみた。

届いてビックリ、何じゃこの小ささは!?計りに乗せてみると130グラムしかない。こんなモンに3,000円もつぎ込んだのかと思うと、まるで詐欺にあった気分だった。家族からは馬鹿にされ、無駄使いと罵られ、言い返してはみるもののショックは隠し切れず・・・。泣きそうな気持ちを抑えて恐る恐る食べ始めた途端、その美味さに声も出なかった。そうか、そうだったのか。これがその価値なのか!今まで蟹と言えば大きくて足が長くて・・・しか思いつかなかった。世の中にはまだまだ未知のヨロコビがあるんだと、海の恵に冷酒で乾杯。

それ以来、この時期を心待ちにするようになった。生きる楽しみが増えたと言っても過言ではない。香箱蟹は12月以降が更に美味しくなるはず。年末年始のお楽しみのために、

今日もくりっく、
明日もくりっく!くりっく、くりっく!!

さあ、みなさんも御一緒に・・・。

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アコ

出生地 新宿区、本籍地 品川区、銀座OL歴○○年・・・。 酒と肴と男をこよなく愛するが為、未だ独身。 趣味はビーズアクセサリー作り、ネット通販、空想。 座右の銘は「笑わせてナンボ」。 今日も銀座を飲み歩き・・・、明日はデスクで二日酔い・・・。

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