
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第31回 アンダンテ ケーキ工場 代表 永井さん | ||||||||||||
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「ケーキ職人」とは、けっして誰にでも真似できる仕事ではない。技術の習得はもちろん、労働時間は長く、その割に懐がラクに潤うわけでもない。卸ともなれば、小売店に配達せねばならず、傍らでは業務拡大のための営業活動も必要になる。「パティシエ」といえばスマートに聞こえるが、ひとよりも多く汗を流さないかぎり生き残れないのだ。
「からだが丈夫だから続けられるのでしょう」アンダンテを立ち上げて22年になる永井さんは、笑いながらそう話す。 「うちは年中無休ですよ。僕自身、起業してから数えるぐらいしか休んだことはない。でも生菓子を扱っているので、これは宿命なんです」 初めてケーキを口にしたときの感動をいまも忘れない。高校生のころ、スポンジ生地に包まれたバナナの洋菓子に、「世界にはこんなに美味しい食べ物があるのか」と驚いた。戦後まもなく生まれた団塊世代の彼らには、無理もない出来事だったろう。つねに腹を空かせているような物の少ない時代では、味を求めるなど二の次だったのである。 ケーキに魅せられ、また兄が洋菓子店に勤めていた影響もあって、高校を卒業すると永井さんは洋菓子店を渡り歩き、ケーキ職人としての技術を磨いた。その美味に胸打たれた「バナナ・オムレット」をはじめ、レパートリーを着実に増やしていく。さらに培った技術を引っ提げて入社した大手ケーキ専門店では、およそ10年のあいだ工場長を務め上げた。吉祥寺の「モーツァルト」といえば、ケーキ好きならずとも耳に覚えがあるだろう。 「モーツァルト」から独立した永井さんは、店舗を構えるのではなく、ケーキ工場として作品をつくり、さまざまな小売店に納入する手段を選んだ。「美味しいケーキがその店の価値を生む。だからケーキの責任は重い」と、彼はいう。現在、「アンダンテ」がケーキを卸す店は、銀座のブルックボンド紅茶や日東紅茶をはじめ、レストランや喫茶店など約25店舗に及ぶ。そのすべての店に、アンダンテのケーキが彩りを添えているのだ。 くわえて、一般のユーザーに卸値で直接販売していることも好評を博している。もちろんパンフレットを抱えて歩き回る営業活動にも余念がないのだから、永井さんに休む暇はない。それでも彼の表情には充実感が漂っている。 「辛いとは思わないですよ。自分が好きでやっているわけですから。何歳までできるかはわからないけど、パティシエとして表舞台に立ちたいひとの手助けも含めて、ずっとケーキに関わっていたいですね」 スウィーツのブームによって競争が激しさを増すなかで、20年以上にわたり不休で工場を切り盛りしてきた。業界での信頼も厚い。それは体力が成した技というよりも、ケーキに対する愛情ではないか。「生菓子だから目が離せない」という永井さんの台詞が、その事実を何よりも雄弁に物語っていた。 取材・文◎隈元大吾 http://www.scn-net.ne.jp/~jps/ |
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アンダンテ ケーキ工場
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