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路傍の晶 東京デントリペア 代表 宇佐美さん

コラム

地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします

路傍の晶

第20回 東京デントリペアらびい 代表 宇佐美さん
「デントリペア」という言葉を聞いて、耳慣れない向きも多いかもしれない。凹み(デント)を修理する(リペア)、すなわち凹んだ車を直す仕事だ。

「蹴られてできた凹みや屋根に出来た凹みなど、たいていの凹みは直します」この道8年の宇佐美さんは、自信を持って言い切る。
「塗装に傷さえ入っていなければ、大小関係なく元通りにします。ほんの僅かな傷であれば、タッチアップして目立たなくすることも可能です。作業も広いスペースを必要としないので、ほとんど出張で対応させてもらっていますね」

 いわゆる「板金」とは違う。板金は傷ついた箇所を裏表から叩きパテを平らにして、色を塗り直すが、デントリペアは裏から押して面を平らにする。つまり、塗装が剥がれるなど表面に裂傷を負っていないかぎり、オリジナルのカラーに手をつけることなく復元するのだ。宇佐美さんが用いるこの技術は、多くの新車ディーラーにも重用されているという。外に展示している車を、毎年のように降るヒョウによって凹まされたディーラーが、彼のもとに駆け込むというわけである。

 通常は直せないと言われる凹みも、宇佐美さんの手にかかれば元通り。作業も速い。その理由を、彼は「工具の先が見える」と表現する。
「どんなに深い凹みでも押したい箇所にすぐ届くんです。だから普通のデント屋さんが何度も模索するところを、僕はひと突きで直す。また、ただ凹みを直すだけなら誰でもできると思いますが、元通りに再現するためには周りの肌とおなじように整えなければいけない。そうすることで平らになるわけです。作業を見ていただくのが一番わかりやすいですけどね。直している僕自身、感動するぐらい綺麗になりますから」

 言葉にすると簡単に聞こえるが、しかしデントリペアの道に入って挫折する者も少なくない。思うように直せないからだ。宇佐美さんと他者との違いはどこにあるのだろうか。こたえは彼のこれまでの人生に隠されているようだ。

 かつて、宇佐美さんはプロのミュージシャンだった。オーケストラでパーカッションを担当し、日本武道館で有名アーティストのバックを務めた経験もある。またクラシックを離れてからはドラムに転向し、数多のジャンルでリズムを刻み続けた。プロとしての経歴は15年に及ぶ。音楽をやり切ったのち、デントリペアと出会った。

「ドラムの経験がいまの仕事に活きているのかもしれませんね」かつての自身を振り返り、彼はいう。
「つまりドラムは、姿勢を変えずに同じリズムをずっとタイトに叩かなければいけない。それはデントリペアも一緒なんです。とくに始めた頃は根気が必要だった。よく『器用ですね』と言われるんですが、むしろ器用な人は伸びません。才能よりもまず努力が大事なんです。その意味でも自分には適職だと思っています」

 デントリペアの仕事にやりがいを感じ、「面白くて仕方がない」という。かつては音楽で観客を沸かせた宇佐美さんはいま、スティックを工具に持ち替え、ユーザーを魅了し続けている。 。

  取材・文◎隈元大吾
http://www.scn-net.ne.jp/~jps/
代表の宇佐美さん
* 代表の宇佐美さん *






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