
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第19回 Hair Salon Air 店長 小山さん | ||||||||||||
|
環状8号線の側道沿い。小奇麗な佇まいが一見、美容室の雰囲気を漂わせるが、ふと宙に目を遣ると、サインポールに気付かされる。どうやら正体は理髪店のようだ。 「女性も子どもも入りやすいお店をコンセプトにしました」と店長の小山さんは話す。 「いわゆる“床屋”の硬いイメージを壊したかった。僕としてはラフな雰囲気のほうが好きだし、そもそも理容と美容の区別に捉われる必要はないと思っていたんです。自分の店を出すのであれば、両者を融合したようなサロンをつくろうと常々考えていました」 一口に「融合」といっても、イメージやスタイルだけではない。使用する椅子は背もたれに工夫が施されており、バックシャンプーにも対応している。つまり洗面台に対して前向きにも仰向けにも、利用者がそれぞれの希望に応じて好みの姿勢を選べるというわけだ。ソフトといった実用面においても折衷を試みたのである。 こうした小山さんの斬新な発想は、20年ちかくに及ぶ理髪店での経験から生まれた。 「理容界には旧態依然とした考え方がいまだに根強く残っているんです。たとえば店舗の立地。暗黙のルールとして、ほかの理髪店が見える距離には絶対に建てません。でも美容室は極端に言えば目の前でも隣でも、どんどん新しく開業しますよね。それによって一時はお客さんが流れてしまうかもしれませんが、人が多く集まるぶん街の活性化に繋がるし、経営者としてやりがいも感じられる。柔軟な考え方がプラスの作用を生み出すんですよ」 既成概念に捉われないアイデアを、小山さんは「独立」というかたちで具現化した。店を構えたのは2001年6月のことだった。なかなかよい物件が見つからないなか、夜中に車を走らせ停車した赤信号のすぐ横に、「貸店舗」の貼り紙を見止める。「あのとき青信号だったらこの店はありません」思い返して、店主は笑う。偶然の出合いに即決し、契約を交わしたのだった。 運命的ともいえる縁によって手に入れた自身の城には、「Air」という名前を冠した。籠めた意味は文字通り、「空気」である。 「春日町の空気になりたいという思いから名付けました。“いつもここにいますよ”みたいなメッセージですね」照れ笑いを浮かべながら、主は言った。 利用者は近隣のひとたちだけではない。マイカーで来るひともいれば、行き交う車が絶えることのない環状線の向こう側から歩いてくるひともいる。最近では夫婦揃って髪を切りに訪れる光景も珍しくない。また親子連れでやってきて、一家の貸し切り状態になることもあるという。 「休日に家族で、『今日はみんなで床屋に行こう』なんて、おもしろいでしょ」 悪戯っぽく小山さんは笑った。いつもの場所に、変わらぬ優しい笑顔が約束されている。開業して丸5年、「Air」はいつしか空気のように、この街に馴染んでいた。 取材・文◎隈元大吾 http://www.scn-net.ne.jp/~jps/ |
![]() * 店長の小山さん * ![]() * 観葉植物の飾られた店内 * ![]() * 肌に優しい水とクリーム * |
|||||||||||
|
Hair Salon Air
|
||||||||||||



