
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第6回 RIKIアトリエギャラリー 店主 Tetsuyaさん | ||||||||||||||
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デザインスクールで教鞭をとりながらも、べつにやりたいことを彼は内に秘めていた。すなわち、“ものづくり”である。学生時代にはインテリアファニチャーから建築まで広く学んだ。教壇に立つ傍ら、家に帰れば作品づくりに没頭もした。自分が求めている場所は間違いなく、教室の外にあった。 だがクリエイターとしての自負を持ち続ける一方で、自己表現に固執するあまり社会に馴染めない仲間たちを何人も見てきた。彼はおもう。「日本ではアートを教えても、アートビジネスは教えない。だから卒業して社会に出たときに路頭に迷い、得がたい才能も埋もれてしまう。ならば自分は芸術性と商業価値の両立を目指そう」と。こうして彼は4年間勤めた教職を辞して信州安曇野に工房を建て、自身の思いを作品に託すようになった。 オリジナルブランドRIKIを立ち上げたTetsuyaさんの「和紙と漆のバッグ」の原点は、この安曇野の工房にある。「もともと和紙には素材としての可能性を感じていたんです。なぜなら和紙は通気性があるし、加工によっては水にも強い。想像以上に強度も備えている。さらに平面だけでなく立体表現も可能。それらの特性を生かし、まずは鉢などテーブルで使えるような紙製の器をつくり始めたんです」 この“紙の器”は好評を博した。国内最大規模のクラフト系アートイベント「クラフトフェアまつもと」に出品した際には、大手デパートのバイヤーに見初められ、以降数年間にわたり個展を全国展開した。 しかし作家として評価を受ける反面、ジレンマも抱えるようになった。ひとりで、しかも総てを手作業で行なうため寝る間もなく制作に追われ、あらかじめ決められた個展のスケジュールをこなすので精一杯になってしまう。気付けば、目標である筈の両輪どころか片輪さえも軋み始めていたのだった。 「このままでは転んで倒れてしまう」そう思ったときに出会ったのが、漆を用いたバッグである。閃きが走った。「クラフトは基本的に単素材でつくる作品が多いんです。僕はそこにいままでにない付加価値をつけたかった。そこで思いついたのが漆でした。和紙に漆を塗ることで強度がさらに増し、高級感も出る。上に画を描けばデザインの可能性も広がるし、また世界を見据えたときに日本文化もアピールできる。くわえて、水に強く軽くて丈夫な和紙と漆の相性が、バッグの商品特性と合うんじゃないかと着目した訳です」。試行錯誤を重ね、ようやく完成形に至ったときには、発想から約2年の歳月が経っていた。 昨年、店舗と工房を兼ねるアトリエを練馬区に構えた。いまでは個展のサーキットもやめ、この世にひとつしかない作品を日々、じっくりとつくっている。Tetsuyaさんはいう。「手に取ったひとに喜んでもらうことだけを考えています。ただひたすら、つくり続けていたい」。紙の器を経て産声を上げた「和紙と漆のバッグ」は、芸術性と商業価値の両立を目指したTetsuyaさんの、クリエイターとしてのひとつのこたえだった。 取材・文◎隈元大吾 |
![]() * 店主のTetsuyaさん * ![]() * 和紙と漆のバッグ * ![]() * 工房での手作業 * |
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RIKIアトリエギャラリー
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