
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第2回 のんちゃんのはらどけい 店主 伊藤 紀雄さん | ||||||||||||||
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いまでは舗装され、人や車が忙しなく行き交う店の界隈も、40年前は大通り以外の総てが砂利道だった。「変らないのは通りに連なる桜並木だけ」6歳の頃、この地に移り住んだ伊藤紀雄さんは当時の風景をこう振り返る。「昔は人口が少なかった分、顔馴染みばかりで、街に出ればお辞儀をしながら歩いたものです。いまは人口の増加とともに、知らないひとが増えましたね」。 この桜並木から入った一角で紀雄さんが包丁を握るのは移り住んでから約10年後、17歳のころである。折りしもオイルショックを経て景気が徐々に上向いてきた時代に、料理好きの青年は厨房に立つことを決意した。「最初は見よう見まねでしたよ」と笑うが、水槽に泳ぐ生きた魚を捌いて並べる新鮮な料理に、足を運ぶ地元の人々は多かった。店の切り盛りは家族と行なっていたが、料理は総て彼の右腕に委ねられていたという。 居酒屋からスタートした店は、時代とともに姿を変えていく。水槽がカラオケに替わったバブル期には、夕方から朝まで働き詰めの日々が続いた。そして妻のいずみさんと始めた現在の店になると、彼女の好きなブタの置物が店のマスコットとしてカラオケに取って代わった。 「看板メニューはとくにないんですよ」と、紀雄さんはいう。 「お客さんには食べたいものをたくさん食べて欲しいから、ジャンルを問わず幅広いメニューを用意しています。毎日買い物に行ってその時々の新鮮な食材を仕入れて料理しますから、旬なものも多い。兄が釣り好きなので、ときには釣りたての魚もテーブルに並びますよ」 いまでこそ「スローフード」という言葉が巷に溢れているが、オーガニックへのこだわりは伊藤夫妻にしてみれば当然のことだったという。「人間の体を根本的に考えれば自然食は落ち着くべき場所だし、流行ではなく普段から大事にすべき考え方だと思います」無農薬のフルーツを生地に錬り込むなど材料からからだを気遣い、教室まで開くいずみさんの手作りケーキは、紀雄さんの手料理とともに好評を博し、予約リストが尽きない。 火曜と金曜限定のランチも密かな人気を集めている。サラダ、スープ、メイン、そしてデザートには手作りケーキ、コーヒーと、リーズナブルな価格で数種類用意されたフルコースは、「贅沢な気持ちにさせてくれる」とユーザーのあいだでも評判で、店内にはいつも賑やかな笑い声が響く。 「仕事をしながらお客さんと一杯やるのが一番の楽しみ」と紀雄さんが笑えば、いずみさんも「お友だちになれて毎日が楽しいですね」と微笑む。時代とともに周りの景色も店の姿も移りゆくなかで、変らないのは桜並木と店の場所、そして客人をもてなす主人の心である。気が付けば顔馴染みの増えている伊藤夫妻のつくりだす空間が、「のんちゃんのはらどけい」の一番の看板メニューかもしれない。 取材・文◎隈元大吾 |
![]() * 伊藤さんご夫妻 * ![]() * 所狭しと並ぶ豚の置物 * ![]() * カウンター席 * |
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のんちゃんのはらどけい
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