
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第22回 みきや 三木さん | ||||||||||
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人生のリスタートは、わずか一畳分のスペースから始まった。昨年1月、江戸川区に暮らす三木さんは地元一之江に店を開いた。手作りのたこ焼きやお好み焼き、また瓶詰めのドリンク類が狭い店頭にひしめき合い、幼いころに足しげく通った駄菓子屋さながらの懐かしい雰囲気を醸している。なけなしの小銭を握りしめて品を選んだあのころと同様に100円玉ひとつで買い物ができるところもまた、郷愁を駆り立てるのかもしれない。 「まだ幼稚園にも行ってないような小さなお子さんが『ここの、おいしい』なんて言ってくれたり、そうかと思えばお年寄りが買ってくださったり、年代を問わず来ていただいてます。そうした触れ合いがあるから、スーパーをやっていたころよりもおもしろいですね」 そう、三木さんが自身で店を切り盛りするのは、なにもこれが初めてではない。30代から40代にかけての約10年間、彼はスーパーを経営していた。40坪ある店舗では肉や魚、惣菜といった食料品をはじめ、日用雑貨まで幅広く取り扱った。だが業界の不況もあり、40の山を越えてから店を畳まざるを得なくなったのである。 「もう二度とやるまい」商売の辛さや難しさに直面し、店を閉めた当時はそんなふうに胸の内で吐き棄てたものだ。その後、彼は食品業界で長年培った経験を活かし、業務用の食物を扱うメーカーに就職する。そこではホテルやケータリングサービスの会社を相手に営業を行なった。 しかし、折れたかに見えた意欲は尽き果ててはいなかった。いったんは経営から身を引き、およそ20年に渡りサラリーマンとして働くなかで、あるおもいが三木さんの胸中に沸々と湧き上がる。もう一度チャレンジしたい――それが「みきや」の原点であり、60歳を越えて訪れた転機だった。 新たな一歩を踏み出した三木さんの信念は逞しい。経営者として酸いを知り、また長きに渡って食品業界に身を置いたこれまでの経験値もあるだろう、こだわりは微に入り細を穿つ。片手で食べられるお好み焼きは、形から包み袋に至るまで自ら編み出したものだ。安価とはいえ、たこ焼きにはじつに10種類以上もの具材が使われている。 「安かろう悪かろう、では当然ダメ。安くて食べやすく、なおかつ美味しくなければ商品としては売れない。いろんな物を食べ歩いてきた経験を活かして、自分の味を作ることに時間をかけました。他ではやっていない工夫をしているし、味では負けません」 さらにもうひとつ、彼が広めたいのは商品だけにとどまらない。 「私たちの年代はまだ若いし生活が懸かっています。でも満足な仕事はない。そんないまの世の中で途方に暮れている同世代の方々のためにも、小スペース、小資本で起業できるノウハウ提供し、“まだまだできるんだ”ということを伝えていきたい」 「自分次第で変われる」と、三木さんは白い歯を見せる。第二の、否、第三の人生といえるかもしれない。60を越えてからの新たな挑戦、ほんの一畳分の狭い空間には無限の可能性が詰まっている 取材・文◎隈元大吾 |
![]() 62歳で起業した三木さんは 「常識を壊したい」と語る ![]() 100円のお好み焼きに始まる品々。 舌もおなかも満たされる ![]() 一之江駅から徒歩5分、 ひだまり公園の前に立つお店 |
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お好み焼き・たこ焼き・焼きそば みきや
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