
地域に根ざしてご活躍をされている店主の方々へのインタビューをお届けします
| 第2回 ファッションカーテンのDECO 店主 佐々木さん | |
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脱サラして家内工業からカーテンの縫製を始めた佐々木さんには、ある葛藤があった。 「生活のための仕事と自分の人生観、生きていくためには両方欠かせない。でも僕のなかで、このふたつがどうしても一致しなかった。繋がるまでは悩みました」 すなわち、家族や従業員を養うために作り上げるカーテンに、自身のアイデンティティをいかに織り込むか、彼は日々、模索し続けたのである。 絡まった糸がなにかのきっかけで一時に解けるように、こたえは不意に訪れた。さまざまなひとたちとの出会いや毎日の思惟を通じ、佐々木さんは「カーテンのほんとうのよさを伝えたい」と思い至る。 「たとえば住宅展示場に行ったときに、部屋には綺麗なカーテンがさりげなく掛けられています。貴族や権力者の肖像画の背景にも、必ずといっていいほど写りこんでいる。ほとんどの方は意識しないでしょうね。でも、もし無かったら違和感を感じ、空間が寂しく味気ないものになってしまう。そのようにカーテンは、家やひとに柔らかさや温かみを与え、生活を引き立てる。人々を幸せにできるファブリックなんです」 さらに、このとき導いた持論が、佐々木さんにはある。 「人間は感動するとき、頭では考えていません。感動は頭で理解するものではなく、五感に訴えられて感覚的に捉えるもの。その際の心の動き、リズムは、じつはカーテンのウェーブと一緒なんです。ひとの感情も、平常心でいるときは一定に保たれますが、感動すると波打つでしょう。おなじように、手作りのカーテンが生み出す波紋と見るひとの心が同調したとき、感動が生まれる。カーテンは心の商品なんです」 佐々木さんは元来、職人である。それまではこだわりを堅持し、仕事を選び、技術の向上に喜びを感じていた。いうなれば、内なる追求である。そこに「手に取るひとに感動を与えたい」という外に向かう新たなモチベーションが加わったわけだ。ひとの心を動かす芸術作品がそうであるように、縫製業もまた、手作業の賜物である。「職人として磨いた技術を生かし、綺麗で、ハートに訴えるカーテン作りを目指そう」23歳で室内縫製業に身を置いて以来、こたえを導くまでに10年あまりが経過していた。 「DECO」は、そんな自身の思いを体現するために立ち上げたショップである。計算し尽くされた大小のウェーブは美しく、見る者の心を揺さぶる。「毎日のカーテンの開け閉めが楽しみ」「我が家ではカーテンが一番愛されている」等々、利用者の評判は上々だ。 「掛けて楽しくなる品をお奨めしています。いうなれば、“幸せのカーテン”ですよ」照れ笑いを浮かべる佐々木さんは、初めてミシンを踏んでから30余年、たくさんの幸せを紡いでいた。 取材・文◎隈元大吾 |
![]() 「手作業を重視する」 という佐々木さん ![]() 掛けて楽しくなる カーテンの数々 ![]() 経験に基づき 最良のデザインを提案する |



